僕の先輩に環境問題とかに詳しい人がいて、その人と農業について話をしたこともあり、少し、「農」というものに興味を持っていた今日この頃。衝動買いした割には、非常に面白い本だった。この本は、まとめるとすれば、国との戦いの話と起業してからの話、の二つに分けられる。さくっとあらすじを説明すると……
まだまだ米が足りない時代、1964年に政府が食糧増産の為、もっと米を作れと新規開田を進めており、日本第二の湖であった秋田県八郎潟を干拓し、秋田県73番目の自治体、大潟村が誕生する。「新時代のモデル農村」と言われる大潟村へ入植した著者が、米作りを一生懸命するものの、時代と共に米が余り、国が減反政策(米を作るなというもの)をとるようになる。しかし、米農家に米作るなと言うことは死ねということか、と著者ら大潟村の人たちが政府と戦う。1983年、裁判所に生産調整政策の是非をめぐる農事調停を起こす。「米を作ってはいけないという法律はない」という判決を元に、大潟村の農民たちは政府の言いなりにならず、政府の定める量以上の米を作り始める。それが面白くない政府は、そういった米を「ヤミ米」と名づけ、農協と手を組み、米を買い取らない行動へ出る。また、警官などを動因し、村を包囲してヤミ米の検問を行ったり、連日のように「土地を取り上げるぞ」と圧力をかける。自殺者らが出る中、農協しか販売チェネルがなかった著者らは、自分でなんとかせねばと、起業する……。
そんな話。起業してからも政府から運送会社を止められたり云々があるのだが、第一章の起業までの話がべらぼうに面白い。一本小説書けるぜ(垣根涼介の『ワイルドソウル』のオープニング部分がたしか、ブラジル入植者の政府失策について書かれていた。あの本は最高に良かった)。後半になると、ただのマーケティング話や現在の事業説明になってしまい、ちょっと退屈。
しかも悲しいことに、生産と販売ができるようになったのは、やはり起業し、ある程度の販売チェネルを自分で開拓できたところにある。生産者としての農家は、農協に変わるこういった会社が続々と現れなければ、衰退をたどる一方なんじゃなかろうか……。農業に営む人の大半が65歳以上と言われる日本の農家はこれからどうなっていくのだろうか。大手メーカーが次々と田んぼ&畑を買収していって、派遣社員を送り込み、食のブランドを形成し、個人に対応した生産をする。これぐらいしか思いつかん。