The best way to predict the future is to create it.

いろんな広告系ブログの方が「広告主のメディア化」と「リッチメディア広告の再検討」声を大にして言っている。前者の「広告主のメディア化」について考える機会が、ここ最近よくある。「メディア化」が語られる背景として、一方的な広告でお客さんを引っ張っていくという時代が終わりつつあるという話や、どこまでも深く掘り下げられるウェブサイトをもっと有効活用しようや、などなど、いろんな要因が考えられるが、広告業界ではCGMという言葉を聞かない日はないと思われる今日この頃、広告主もなんか発信していこうぜ、って雰囲気になっている。
クチコミを利用したバイラルムービーってのが最たる例である。バイラルムービーってなんぞやって人はこれをちょいと見て欲しい。

おそらく、世界一有名なバイラルムービー。ナイキの広告である。広告なんだけど、広告っぽくない感じでさ、こいつを見た人が「ちょwwwwwこれ面白いwww」といろんな人に宣伝していくのが、バイラルムービー。ほんと、最近はいろいろあって、どれ見ても、うはーい面白い、ってハイな気分になれる。まあ、こんな感じで「こんな面白いムービー作ってのは、実は我が○○社だったんですわー、ベロベロバー。どうです、うちの製品ってこんな使い方や、うちはこんなハジケタこともできるんですよ」とアピールしていくのが、流行。
そんなこんなで、売り上げは伸びるかどうかは別として、スポンサーが頑張ってコンテンツを手探りで製作している時代。従来の広告というものは、例えばテレビだと、番組→広告→番組、コンテンツのおまけみたいな扱いで、雑誌でも同様、裏面に乗せたり、空きスペースに入れたりと、コンテンツにのっかかるというのが基本形。テレビは年々見る人が減り、雑誌は団塊の世代が読まなくなると滅びると囁かれ、ラジオは相も変わらず低空飛行。それを尻目に成長を続けるネットの世界。
ネットの中で、自社サイトのメディア化の話になると、よく聞くのが、ユニクロ。質の高い、面白いことを毎回やってくれる、皆、一目置いた存在。でも、そんな面白ユニクロよりも凄いと思った企業がある。吉本である。
この記事を見たとき、そこに憧れ、しびれた。
「見て欲しい」の本質忘れるな--吉本が語るネット時代の権利者像:コラム - CNET Japan

 高度なビジネスモデルが構築された地上波テレビにおいても、創業以来の精神を忘れたわけではありません。放送事業者から得られるギャランティは、広告会社、広告主を経ているとはいえ元々はコンシューマーが負担しているものであり、テレビを通じて芸を提供させていただく。これもひとつのBtoCモデルであると考えてきました。
 ところが、通信インフラとテクノロジの発展によって、わざわざ人の手を借りずとも、直接お客様に芸を届けることができるようになってきました。そこで、従来の劇場展開同様のダイレクトマーケティングサービスに乗り出したわけです。
 中間流通を飛ばすことで余計な手数料をお支払いいだだかなくなったこともさることながら、著作権・肖像権を自由自在に操れるようになったことが大きいのです。地上波番組の場合、いくら弊社所属の芸人が出演していたとしても100%自由に権利を持つわけではありません。いわば「製造直販」が可能になったことで、ようやく自分たちのコンテンツを持てつようになりました。

何が凄いって、自社でテレビ局を作ってしまったことが凄い。もちろん、圧倒的なリーチの低さなどの問題があり、依然として従来のテレビを使った芸人などのプロモーションに力をかけなければいけないが、現在のところ考えられる、最強のコンテンツは動画だと僕は思っているので、この吉本の取り組みというのは、今後規模の縮小を余儀なくされているテレビ業界から、一抜けた感がある。たぶん。
では、吉本のように超強力なコンテンツ力を持たない一般企業は、どうすればいいか。方法は、自社で吉本のように定期的に提供できるテレビ局を持つもよし、ウェブマガジンのような雑誌メディアを持つもよし、小説などで展開するもよし、エンタメ系での囲い込みで攻めるやり方もある。でもそれじゃあ、ただのコンテンツ提供者になっちまうぜ、って嘆き声が聞こえてきそうだが、エンタメ系だけがコンテンツなわけじゃない。
例えば、食品会社でこんなことできたらなと思うのが、トレーサビリティを可視化して物語化すれば、これも立派なコンテンツになりえるんじゃないだろうか。例えば、例えばだぜ、ここに卵のパッケージがあってさ、それには「この卵がここに届くまでの感動と涙のストーリー(全米の卵業界話題騒然)」とURLが張ってあって、打ち込む、すると、まずはスーパーに届けられた卵が従業員たちにいくらで売るのかと会議にかけられ棚に陳列されるまでのシーンが流れて、画面が切り替わり、トラックの運ちゃんが寂しそうに家族の写真を眺めながら夜明けに卵を運び、生産者が卵にかける情熱を業者にプレゼンしている姿になって、そんな人間の入り乱れる感情とはまったく別次元でニワトリが「生まれるッ!」と卵を産み落とす……そんな感動の(?)物語ムービーが見れるサイトへ飛ばす。まあそれが面白いかどうかは別として(別にエンタメ系にしなければならないという縛りはないので)、自分が買った卵のIDなど、その映像上とかに出てきたら、むやみやたらに卵に感情移入することは間違いないし、また買おうって思うかもしれない。作り方によっちゃ食べれなくなるけど。
つまりは、今まで見えなかった、お手元に届くまで、の過程をオープンにすることも一つのコンテンツじゃないんだろうかと思ったわけでございます。よりコンサルティング能力が必要とされてくる広告代理店は、広告のコンテンツ化→ウェブサイトのコンテンツ化→コンテンツの広告化という方向に進んでいくんじゃないだろうか、と思ったり、思わなかったり。